伊那市 院長ブログ 小野歯科医院 長野インプラントセンター

以前から、御夫婦で定期的に歯のメインテナンス(お掃除)に通院していらっしゃるMさん。Mさんは昨年11月、急に具合が悪くなり、救急車で病院へ緊急搬送された。この時は、もうすでに意識はなく、担当医から脳梗塞と診断され、「この2~3日が峠で、最悪の場合があることは覚悟しておいてほしい」と告げられた。「主人の意識がまだ戻らないのです」奥様は泣きながら私に話をしてくださった。

Mさんは、音楽が好きで仲間とバンドを結成して、ボランティアで老人福祉施設や介護施設に出向き演奏しては、入所されている方々を励まし続けてきたことは、Mさんからお話しを聞いて私も知っていたので、とてもこの時ショックを受けました。「なんとかもう一度再起して欲しい」祈るような気持ちになりました。

それから月日は流れ、いくつもの季節が過ぎ、1年が経過した今年の10月のことです。Mさんは後遺症は残るものの、手押し車で来院されました。私は待合室にいらっしやるその姿を見たときに一瞬自分の目を疑いました。でも、間違いなくMさんです。この時、「人間の持つ生命力は凄い」と胸がとても熱くなりました。入院期間中は、バンド仲間が度々訪れては「皆でもう一度演奏しようよ!」と励まし続けてくれた事が生きる力になったと話してくださった。そんなMさんの回復ぶりを見て仲間は「奇跡が起きた」と喜んでくれているということも・・・。

お口の中はどうなっているのだろうか?。診察してすぐに不安は安心へと変わった。以前と同じきれいな状態が保たれていたのである。とてもきれいですねと問いかけると、「内の家内が欠かさず仕上げ磨きをしてくれていたから」と笑顔のMさん。
付き添われてきたMさんの奥様は、「主人がもう一度復活してくれると、ずっと信じていたから・・・」。私はこの時、御夫婦が「強い絆」で結ばれていることに感動しました。
殺伐とした世の中ではあるが、悪い話ばかりではない。Mさん御夫婦と出会えて、私はとても幸せだ。