伊那市 院長ブログ 小野歯科医院 長野インプラントセンター

お盆が過ぎても、連日のように気温が高く残暑が厳しいですが、皆さんは、お元気にお過ごしでしょうか?この時期、リオオリンピックが重なって毎晩夜更かしでテレビ観戦という方、多いのではないでしょうか。
最近、夏バテと寝不足で歯ぐきが腫れて痛い!という方が多く来院さています。しっかり食べて、睡眠時間を確保してこの夏を乗り切っていきましょう!
前回、糖尿病と歯周病の関係について概要を説明させて頂きました。
今回はもう少し踏み込んで、なるべく解りやすく解説していきます。

<糖尿病とお口の中の環境>
(1)お口の中が乾燥する
高血糖状態では、浸透圧の関係で尿がたくさん出ます。その結果、体内のが減少するとともに唾液の分泌量が減り、喉やお口の渇きという症状が現れます。唾液には、食べ物を消化する働きの他に、口の中を浄化したり、傷を治す働きもあり、歯周病を防ぐように作用しています。高血糖のために口の中が乾燥しているときは、その作用が低下していて、歯周病の原因菌が繁殖しやすく、歯周病が進行しやすい環境になってしまいます。
(2)唾液などの糖分濃度が高くなる
お口の中は、唾液で常に潤っています。この唾液は、もともとは血液から作られています。高血糖の状態では、糖分濃度が高くなり、歯周病の原因菌が繁殖しやすくなります。
(3)細菌に対する抵抗力が低下する
高血糖状態では、細菌と戦う白血球の働きが低下することが解っています。感染防御機構が十分に機能しなくなり、このために様々な感染症にかかりやすくなり、感染症である歯周病も当然、怒りやすくなります。
(4)傷を治そうとする力が低下する
プラークが形成された歯周組織では、細菌によって引き起こされる組織の破壊と、それを何とか治そうとする働きのせめぎあいが続いています。高血糖状態では、組織を治そうとする働きが低下し、糖尿病で歯周病の進行が早くなることに影響しています。

<歯周病は生活習慣病、糖尿病も生活習慣病>
歯周病と糖尿病は、生活習慣病です。歯周病を起こしやすくする生活習慣とは、歯磨きがきちんと出来ていないことや、糖分の多いものを好んで食べたり、間食をとり過ぎるなどの食習慣、口呼吸(鼻で息をせず、口で呼吸すること)、歯ぎしり、精神的ストレスがあげられます。このうち、食習慣や精神的ストレスは糖尿病を起こしやすくする生活習慣でもあり、喫煙は糖尿病の合併症を起こしやすくする生活習慣です。

近年では、「糖尿病患者の歯周病を徹底的に治療、予防することで、血糖コントロールが改善された」という報告がよく見られるようになりました。私の息子が通う、新潟大学歯学部はこの分野の最先端の研究が、現在行われています。
糖尿病と歯周病を同時にきちんと治療していけば、必ず双方に良い影響を与え合うことは、間違いありません。

 今年は例年と比べて5月の平均気温が高く、長期予報によりますと猛暑になるのではと予想されているようです。患者さんの中には、炎天下のなか屋根の修理をしていて、熱中症になり、はしごから降りる途中で意識を失ないそのままドクターヘリで病院に搬送されて、頭を7針縫う大けがをしたという話をしてくださった方もおりました。命に影響することはなく、本当に不幸中の幸いで良かったとお話をお聞きし、胸をなでおろしました。今年は今から熱中庄対策が必要となっていますので、皆さんも体調管理にくれぐれも努めてください。

今回は、糖尿病と歯周病の関係についてなるべく解りやすく解説していきます。
糖尿病と歯周病がどうして関係するの?と思われる方も多いのではないでしょうか。近年、糖尿病と歯周病の関係が解明されてきたのです。

(1)糖尿病の人はそうでない人と比べて2倍強の頻度で歯周病が起こり   やすくなる。
(2)糖尿病の人は歯周病がより重症化しやすい。
(3)血糖コントロールがよくない人は歯周病がより重症化しやすい。
(4)歯周病が重症化している人ほど血糖コントロールがよくない。
(5)歯周病の人は糖尿病になる確率が高くなる。
(6)歯周病の人は現在問題なくても糖尿病予備軍であることが多い
   歯周病がある人は、たとえ糖尿病と診断されるほどの高血糖ではな   いとしても、HbA1c(過去1~2か月間の血糖値の平均を表す   検査値)が高い人が多いことが示された。
(7)糖尿病の人が歯周病をしっかり治療するとHbA1cが改善する。
   慢性感染症である歯周病に対して徹底的な歯のお掃除を行うと、血   糖コントロールが改善する。またそれとは逆に、血糖コントロール   が悪いと歯のお掃除だけ進めても、歯周病がなかなか良くならない。

紙面の関係で、(1)~(7)については次回また説明していく予定です。

 ようやく私たちが暮らす箕輪町も春めいてきました。
皆さんいかがお過ごしでしょうか?今年は、例年と比べて雪が少なく雪かきは、一回きりと助かった半面、インフルエンザが流行しましたね。まだ、流行っているようですので、うがいと手洗いしっかり行ってください

前回から、歯周病と全身疾患との関係について取り上げました。今回は、高齢者にとって問題となっている誤嚥性肺炎(ごえんせい肺炎)についてなるべく解りやすいように解説していきます。
日本人の死亡原因の第4位は、この肺炎です。肺炎で死亡する人の94パーセントは75歳以上であり、90歳以上では死亡原因の2位と順位が上がるとても怖い病気です。

「誤嚥とは?」
食べ物や飲み物を飲み込む動作を「嚥下(えんげ)」といい、この動作が正しく働かないことを「嚥下障害(えんげしょうがい)」といいます。食べ物や飲み物、胃液などが誤って気管や気管支内にはいることを「誤嚥」といいます。
「誤嚥性肺炎とは?」
誤嚥性肺炎は、細菌(食べかす)が唾液や胃液と共に肺に入り込んで生じる肺炎です。高齢者の肺炎の70パーセント以上が誤嚥に関係していると言われています。再発を繰り返す特徴があり、それにより耐性菌が発生し、抗菌薬治療に抵抗性をもつことがあり、そのため優れた抗菌薬治療が開発されている現在でも治療困難なことが多く、高齢者の死亡原因となっています。
「誤嚥性肺炎の予防は?」
食後、お口の中にたまった食べかすをハブラシ等を使って取り除き、清潔なお口の中の環境づくりに努める(口腔ケアー)。特に、自分では歯を磨くことが出来ない高齢者や脳梗塞の後遺症により手に麻痺が残っている方の場合、家族の方が磨いてあげることが、誤嚥性肺炎を防ぐ有効な手段となります。また、総入れ歯の方では、入れ歯の中に食べかすが多く残っていますので、食後入れ歯をきれいに洗ってあげることも大切となります。

 
最近テレビ番組でも、歯周病と全身疾患との関係を取り上げた番組が多く見受けられます。健康志向の高まりから、少し前では敬遠されていた教養番組が今では視聴率が高く、当医院でも多くの患者さんから質問がありますので、今回はこのテーマについて何回かに分けて詳しく説明していきます。(私事で大変恐縮ですが、昨年12月30日父が急逝し、2月14日(日)四十九日の法要を無事済ますことが出来ました。年末から毎日が慌ただしく、ブログの更新がなかなか出来ず、私のブログをいつも楽しみにして頂いている皆さんに、ご迷惑をおかけしすみませんでした)。

<歯周病と全身疾患との関係> 第1回:概要
歯周病は、う蝕(むし歯)と並ぶ歯科の2大疾患のひとつで、歯肉の腫脹(はれ)や痛み、歯を支える骨(歯槽骨)の破壊が起こる慢性の炎症性疾患疾患です。
最終的には歯が抜けてしまうため、食事や会話なでの日常生活に大きな支障をきたします。軽度のものも含めると、驚くことに成人の役70~80パーセントの人が歯周病に罹患していると言われています。
近年、歯周病が糖尿病や誤嚥性肺炎、早産などの原因となることが明らかになり、歯周病が単に口の中だけでなく、全身の健康を脅かす病気であることがわかってきました。
気道や血管を介して肺や心臓に入り込んだ歯周病の細菌が肺炎や心疾患の原因となったり、歯周病によって誘導された炎症性物質が糖尿病や早産を誘発することが、多くの疫学調査や基礎研究から明らかになってきました。
次回は、もう少し詳しくそしてなるべくわかりやすく、それぞれについて説明していきます。


 一般工業分野における、CAD/CAM 。(ComputerAidedDesign/Computer Aided Manufacturing)技術の発展・進歩は目覚ましく、ハイテクノロジーとして、航空宇宙分野・自動車分野などにおいて設計および制作技術にさまざまな変化をもたらしてきている。
歯科における、CAD/CAM技術は、他の工業分野と比較してその成長は遅く、旧態依然とした状態が続いてきていた。近年、かぶせものに金属ではなく、高強度、高靱性があるため加工が難しかった、ジルコニアという材料をCAD/CAM技術で製作できるようになり、一部は保険適用(かなり制限はありますが)になった。以前は、適合に不安があったCAD/CAM技術が急速に進歩し、改善されたことが非常に大きい。このことで、材料も含めたかぶせものの治療方法が今後世界で大きく変わろうとしています。
一方、歯科用CAD/CAM技術を応用したデンチャー(入れ歯)については、専用のCADソフトがないこと、加工用ブロックが流通していないことなどから、実用化には至っていません。しかし、これまで避けることがでかなかったレジンの重合府歪みの問題を解決できるだけでなく、ソフトが開発されることで、模型と高さを決めるデーターを入力することで、入れ歯の設計を簡単にコンピューターでできるというパラダイムシフトをもたらそうとしています。

<光学印象の進歩とCTデーターとの照合による入れ歯作成>
今現在、入れ歯を作製する場合、直接患者さんの顎の状態を型取り器を用いて印象をとらなくてはなりません。しかし、この光学印象の分野での研究がもっと進むことにより、直接お口の中で型をとらなくても、顎の形態や高さ、幅の解析が可能となり、これに患者さんのCTデーターを組み合わせることによって、入れ歯が出来る時代が将来実現するかも知れません。お口の中で型をとるのは、想像以上に患者さんにとって負担が大きく、特に高齢者にとっては、呼吸が苦しく快適なものとは言えません。将来、本当にあくまで将来ですが、光学印象の研究と開発が進歩し、これを臨床と組み合わせシステム化し、日本から世界に向けて発信されていくことを願っています。


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